牛肉とトラウザーズ

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牛肉は美味いものですよね。牛肉は、どんなふうにして食べますか。焼いて、ステーキ。煮て、シチュー。でも、時と場合によっては、生でも。たとえば、タルタル・ステーキとか。
タルタル・ステーキはもともと馬肉だったそうですが。今ではたいてい牛肉の新しいのが使われるようですね。
牛肉の良さそうなところを叩きまして。タマネギやケッパーなどを加えまして、食す。不思議な味わいになるものです。
小津安二郎が牛肉を食べる話。小津安二郎といえば、シュウマイだのとんかつだの、カレーなどの印象があるんですが、もちろん牛肉も召し上がっている。

「通済老くる 和田金の肉にて月ヶ瀬にて会食」

昭和三十一年十一月七日( 土 ) には、そんなふうに書いています。というよりもこの日については、ほとんどこれだけ。
「通済老」とは、菅原通済のことでしょう。菅原通済は、実業家。でも、『秋日和』などにには、ゲスト出演もしています。
「月ヶ瀬」は以前、銀座にあったレストラン。「和田金」は今も、松坂にある牛肉専門店。
これは想像ですが。小津安二郎は和田金から特別に肉を月ヶ瀬に送らせて、それを料理してもらったんではないでしょうか。
小津家の源は、松坂にあったという。昔、伊勢の商人で、「小津党」といえば知らぬ者がなかったそうです。そんなこともあってか。小津安二郎は松坂に行くと、必ず「和田金」で食事したんだそうです。
小津安二郎は時に料理をすることがあって、なかなかの腕前であった。そしてもうひとつ特技があって、ズボンのプレス。いつもプレスの効いたズボンを穿いていたという。
さて、プレスの効いたトラウザーズで。美味しい牛肉を食べに行くとしましょうか。

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