ワインとディナー・ジャケット

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ワインは美味しいものですね。それに健康に良いとの説もあったりして。
ワインにうるさくなってくると、「ブラインド」なんてことをいいはじめる。
グラスに注がれたワインを眺め、匂いを聞き、ひと口含んで、その正体を当てる。まるで魔術師のようです。
たとえば、リシーヌ。リシーヌはワインのブラインドに長けていたんだそうですね。それも、百発百中。
アレクシス・リシーヌは並外れた五感の持主だったんでしょう。アレクシス・リシーヌはもともとは、ロシア人。1910年代はじめの生まれ。その後、フランスに移り、さらにアメリカに渡っています。
アレクシス・リシーヌは1951年に、『フランス・ワイン』という本を出しています。この本がとてもよく売れたんだそうですね。そんなわけで、と言って良いのかどうか。フランスの葡萄畑を買う。それがカントナックの、「シャトー・プリュレ」。そして名前を、「シャトー・プリュレ・リシーヌ」。カントナックはもちろん、マルゴーの銘酒。
シャトー・マルゴーが出てくる小説に、『武器よさらば』が。ヘミングウェイが、1928年に発表した物語。

「中尉さんにはマルゴーの小壜を持ってまいりましょう。」

これは行きつけのリストランテでの情景なんですね。この『武器よさらば』が、イギリス、ペンギン・ブックスの一冊に加えられるのが、1935年のこと。その翌年、1936年に発表されたのが、『アラビアンナイトの殺人』。ディクスンカーの名作。この中に。

「内ポケットの裏側には、≪ゴーディアン、イギリス風紳士服仕立師、パリ、ブールバール、マルセルブ 二十七 ≫ というラベルが縫いつけてありました。」

これはレイモンド・ペンデレルという人物の、ディナー・ジャケットの説明。
1936年ころには、「英国仕立て」を謳うテイラーがあったんでしょうね。
ディナー・ジャケットを着て。美味しいワインを飲みに行きたいものですが……。

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