リリーとレックス

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リリーは女人に多い名前ですよね。どうして女の人の名前なのか。これはたぶん「百合の花」を想わせるからなんでしょう。
歌のほうでは、『リリー・マルレーン』があります。もちろんこのリリーも女の人の名前なんですね。
『リリー・マルレーン』は、1939年に発表されたドイツの歌。これを最初に歌ったのが、ララ・アンデルセン。
やがて戦争がはじまってから、ヒット。というのは反戦歌でもあるんですね。で、放送禁止に。放送禁止になったことで、ますます人気が高まる。それで仕方なく、深夜に限って放送が許されたんだそうですね。
今は、マルレーネ・ディートリッヒの歌として有名でしょう。また、『リリー・マルレーン』は敵味方の別なく愛された歌でもあります。
マルレーネ・ディートリッヒが、モスクワで公演した時の話。それは1964年5月19日のこと。場所はクレムリン宮殿に近い、「エストラディ劇場」で。
演奏は、ロシア交響楽団。指揮は、バート・バカラック。公演の時間になって、幕が上がる。その瞬間、停電。
暗闇。暗闇の中で、「いったん、幕を下ろそう」と、バート・バカラック。と、それに答えたのが、第一ヴァイオリニスト。「私たちは皆、楽譜が頭に入っております」。
それで真っ暗闇で音楽がはじまる。ディートリッヒが、歌う。
ディートリッヒの二曲目の中ほどになって、明かりが戻ったという。観客の目に涙が光っていた。
リリー・マルレーンが出てくるミステリに、『反撃の海峡』が。1990年に、ジャック・ヒギンズが発表した物語。

「波が前より荒れ始め、<リリー・マルレーン>はときどき横ゆれしながら高速で航走しつづけた。」

「リリー・マルレーン」、実は船の名前なんですが。また、こんな描写も出てきます。

「古ぼけたツィードの中折れ帽を目深にかぶって……」

これはイギリス特殊部隊のせきにん、ドゥーガル・マンロゥが被っている帽子なんですね。時代背景は、1940年代。
これはたぶん、レックス・ハリスん・ハットのことなんでしょう。
さて、トゥイード・ハットを被って。リリー・マルレーンを聴きに行くとしましょうか。

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