ジャンとジャンパー

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ジャンというのは、フランスによくある名前なんだそうですね。ジャン・ギャバンとか。ジャン・ポール・ベルモンドとか。
ジャンがイギリスに行くと、「ジョン」になるのかも。そしてイタリアなら、「ジャンニ」。やや強引に日本で探すなら、「次郎」でしょうか。まあ、そんなふうにジャンは珍しくない名前なんでしょう。
たとえば、ジャン=ポール・サルトル。ジャン=ポール・サルトルのお父さんも、ジャン。ジャン=バティスト・サルトル。サルトルのお母さんは、アンヌ・マリー・シュヴァイツエル。
シュヴァイツエルを英語訓みにすると、シュヴァイツアー。そうなんです、あのアルバート・シュヴァイツアー博士の従兄弟なんですね。
アンヌ・マリーのお父さんが、シャルル・シュヴァイツエル。シャルルの弟が、ルイ。ルイの息子が、アルバート・シュヴァイツアーというわけ。
ジャン=ポール・サルトルはおじいちゃん子で、ずいぶんと可愛いがられた。おじいちゃんのシャルルは、ドイツ語の先生。書斎にはたくさん本があって。ぜんぶ、ジャン=ポール・サルトルに解放してくれたんだそうなんです。
そんなわけでサルトルは七つの時から、フロベールの『ボヴァリー夫人』をはじめとする小説を読み耽ったと伝えられています。
ジャンが出てくる小説に、『ジン』があります。アラン・ロブ・グリエが、1981年に発表した物語。
「ジン」は、主人公、シモンの恋人という設定。ジンはアメリカ人女性で、アメリカふうには「ジーン」。これがフランスでは「ジン」Djinn になるんだそうですね。
この『ジン』の中で、偶然、シモンに出会う少年が、ジャン。それはともかく、この中に。

「鮮やかなブルーのセーターをのぞかせている、ファスナー付きの洒落た白い革ジャンパーを羽織っている……」

この文章のすぐ後に。スェーターはカシミア、革ジャンパーは、白いラム革、と説明されているのですが。
いいなあ。白いラム革のジャンパー。なにかジャンパーを着て。ジャン=ポール・サルトルの本を探しに行くとしましょうか。

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