カナリアと鳥打帽

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カナリアと題につく歌に、『ブルー・カナリー」がありますよね。
「ブルー・ブルー・カナリー……」
たしかそんなふうにはじまるんでしたね。ダイナ・ショアの十八番 (おはこ ) 。1950年代に、流行。日本でも雪村いずみが歌って、ヒット。
カナリアの歌は他にもあって、『かなりや』。
「歌を忘れたかなりやは……」
西條八十の作詞。これは西條八十の子供のころの思い出とつながっているんだそうです。小さいころ、八十は連れられて、教会に行く。みんなで賛美歌を歌う。歌いながらふと天井を見上げると。天井の照明のひとつの電球が切れている。
その切れた照明の形が八十には、かなりやに思えた。歌を忘れたかなりやに。この時の記憶から後に、『かなりや』が生まれたんだそうですね。
最初は、『かなりあ』として、『赤い鳥』 に発表。『赤い鳥』は、鈴木三重吉の創刊した、少年少女向けの、童話を中心にした雑誌。
『赤い鳥』は、その時代、多くの人に歓迎されて、成功。すぐに、いくつかの童話雑誌が生まれたほどに。
鈴木三重吉は、洒落者でもあったようですね。大正十六年ころは、鈴木三重吉、三十六歳くらい。そのころに写された写真を見ると。美事なスーツを着ています。ハイ・カラーにボヘミアン・タイ。タイを変えれば、今でも最新流行の着こなしになるでしょう。
鈴木三重吉の小説に、『少年駅伝夫』が。昭和三年に発表された物語。これはスゥエーデンの少年ガイドが出てくるお話。少年ガイドの名前は、「ラルス」。十二歳という設定になっています。スゥエーデンの冬は、寒い。ラルスはどんな恰好なのか。

羊の毛皮の外套を着、毛皮の鳥打帽の両がわのたれをおろしてあごにくくり……」

毛皮の鳥打帽。温かそうですね。
なにか鳥打帽を被って、カナリアを探しに行くとしましょうか。

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