ババとピケ

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ババは洋酒たっぷりのケーキですよね。
ババ baba はポーランドに生まれたお菓子だろうと、考えられています。
十八世紀のポーランド王、スタニラス・レクチンスキーは食通で。ことに甘いものがお好きだった。そこで料理人の、シュヴリオがクグロフにラムをかけてお出ししたところ、たいそうお喜びになった。そして「アリ・ババ」と命名。王は『アラビアン・ナイト』の愛読者でもあったから。
この「アリ・ババ」が後に、「ババ」になったという。ババはその後、ポーランドからフランスへ、フランスからイタリアへと伝えられることに。
十九世紀のフランスで、レーズンを入れないババが作られた。作ったのは、ジュリアンという名の菓子職人。ジュリアンはそれに「ブリア・サヴァラン」と名づける。もちろんかの、ブリア・サヴァランに敬意を表して。やがて「ブリア・サヴァラン」の人気とともに、「サヴァラン」となったのだがそうです。
ババが出てくる小説に、『山猫』があります。1958年に、トマージ・ディ・ランペドゥーサが発表した物語。ただし時代背景は、1860年代のはじめ。場所は、シチリア。著者のお祖父さんの話でもあります。
『山猫』は1963年に。ルキノ・ヴィスコンティによって、映画にもなっています。「山猫」は物語の主人公、サリーナ公爵の紋章を意味しています。『山猫』の中に。

「見事な毛並みの栗毛馬を思わせる≪ババ≫ 、クリームの雪を頂くモンブラン……」

こんなふうにたくさんのケーキが並べられる場面が。公爵は甘いものがお好きだったのでしょうね。また、こんな描写も。

「ピケ織綿ズボンのズボンを穿いた本物の《山猫》 が……」 ( 原文のママ )

少なくとも、1860年代のシチリアには、ピケもババもあったのでしょうね。

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