トリエステと旅行服

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トリエステは美しい町ですね。北イタリアの可愛い町。
港があって、坂道があって、優雅なカフェがあって。
トリエステを歩いていると、とてもここがイタリアだとは信じられないくらい。むしろウイーンのどこかにいるような不思議な気持になってきます。
トリエステの町をこよなく愛したのが、須賀敦子。須賀敦子がまずはじめに愛したのは、サーガだったのですが。ウンベルト・サーガはトリエステに生まれ、トリエステを謳った詩人。
須賀敦子はウンベルト・サーガの詩に出会い、ウンベルト・サーガの生まれた町、トリエステを愛するようになったのです。『トリエステの坂道』と題する随筆も書いています。ただ、須賀敦子の文字遣いとしては、「サガ」になっているのですが。ウンベルト・サーガは詩人であると同時に、トリエステの町で本屋を開いていた人物でもありました。
トリエステの町を愛したのは須賀敦子だけでなくて。アイルランド生まれのジェイムズ・ジョイスもまたトリエステに住んでいます。ジェイムズ・ジョイスはトリエステで英語の先生をしながら、カフェに行って、せっせと小説を書いた。それが『ダブリンの人々』なのです。『ダブリンの人々』が発表されたのが、1914年。
1914年にフランツ・カフカが書いた小説に、『審判』があります。この中に。

「体にぴったりと合う黒い服を着ていた。旅行服に似たもので、さまざまのひだやポケットや留め金やボタン、それにバンドもついており………」

これは『審判』の冒頭部分。突然にあらわれた男の服装なんですが。
「さまざまのひだやポケットや……」。想像しただけで、愉しくなってしまいます。
なにか旅行服を着て。トリエステに行きたいものですね。

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