アグネスとチロル帽

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アグネスという女の人って、いますよね。アグネスと仲良しだったのが、ヘミングウェイ。1918年のことです。
1918年6月。ヘミングウェイは、イタリアへ。これは赤十字軍の運転手として。ところが7月8日に銃撃を受けて、負傷。で、ミラノの陸軍病院に入院。この病院で出会ったのが、看護婦の、アグネス・フォン・クロスキー。ドイツ系アメリカ人。
へミングウエイは年上の、アグネスに恋する。ヘミングウェイ、十九歳の時。ここでの経験をもとに小説に仕上げたのが、『武器よさらば』。映画にもなっている名作ですね。
ヘミングウェイはイタリアに行く前、どこにいたのか。カンサス・シティに。『カンサス・シティ・スター』の記者になっていた。1917年のこと。『カンサス・シティ・スター』は、文章に煩い新聞で。いくつかの約束事があった。ひとつの例を挙げると。

◯ 簡潔に
◯ 書き出しは、短く
◯ 強い言葉を
◯ 前向きの言葉を
◯ 新しい口語を
◯ 形容詞を使うな

ざっとそんな内容だったという。『カンサス・シティ・スター』の先輩記者に、ライオネル・キャルホーン・モイーズという人物がいて、徹底的に叩きこまれたそうです。また、休み時間のカフェでは、「人生」についても多く、モイーズから学んだとのこと。
『武器よさらば』は、練り練って書かれた小説で。ことに最後の四十一章は、十七回、書き直したと、伝えられています。『武器よさらば』の中に。

「船尾に四人の税関監視員がいた。アルプス帽を目深にかぶり、マントの襟を立て………」

これはイタリアからスイスに船で入った時の様子。「アルプス帽」。もしかしたらチロル帽に似たもであったかも知れませんが。
チロル帽を被って。二十一世紀のアグネスを探しに行きましょうか。

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