ハロッズとラウンジ

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ハロッズは有名ですよね。
ロンドン、ナイツ・ブリッジに本店のある百貨店。
1824年の創業。今の売場面積、90,000m2というのですから、広い。たぶん世界一級でしょうね。
1929年の「ハロッズ」のカタログを開いてみると。「ショウファーズ・ユニフォーム」のページが出ています。まあ、簡単に言って、ダブル前のスーツ。使われているのは、「デュラテックス・ホイップコード」。ホイップコードは、丈夫な綾織地のこと。ただ、「デュラテックス」は何でしょうか。たぶん商品名でしょう。色はブルーやグレイなど。値段は、5ポンド15シリングほど。
「ショウファーズ・ユニフォーム」ですから、自家用車の運転手用の制服なんですね。1929年のハロッズには、それを必要とする客がいたのでしょう。
創業者、チャールズ・ヘンリー・ハロッドは、洋服屋で、最初「ハロッズ」は洋服店としてはじまっています。
その後、息子、チャールズ・ディグビー・ハロッドの代になって扱い商品を大きく増やすんですね。1884年には、移転。店舗拡張。この時、オスカー・ワイルドをはじめとする著名人には、「掛け売り」をはじめてもいます。
1884年に、パリ公使館のパーティに行ったのが、黒田清輝。その時代には、「公使館」だったんですね。黒田清輝は、1884年11月13日の日記に。
「短衣之者ハ他ニハ無之………」
と書いています。大切な宴なので、偉い参列者は皆、正装。若くて、まだパリに着いたばかりの黒田清輝は「短衣」だったのでしょう。この時、黒田清輝、十九歳。この時代の黒田清輝の写真を見ると、「ラウンジ・ジャケット」になっています。たぶんパリ公使館に、ラウンジ・ジャケットを着て行ったものと思われます。
でも、1884年のパリでラウンジ・ジャケットを着た日本人としては、かなりはやかったほうでしょうね。
1884年といえば。「ハロッズ」もやっとラウンジ・ジャケットを売り出した頃でしょうから。

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