ラムとビロード

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ラムは美味しいものですね。仔羊の肉。
ラムをどんなふうにして食べるのか。もし、うんと念入りにとおっしゃるなら。「ジゴ・ア・ラ・セットゥール」というのが、あるんだそうです。
「ジゴ」は、羊のもも肉。羊のもも肉に切れ目を入れて、その間に、ベーコンやハムを挟んで。仕上げにニンニクをこすりつけておく。
下準備ができたところで、大鍋にすっぽりと入れる。入れる前に、鍋の底に玉ねぎに薄切りを敷いておく。鍋にもも肉を入れて、ワインと水と、ローリエをひたひたに。鍋には、蓋。蓋には小麦粉を練って、目張り。その鍋をばオーヴンに入れて、七時間。で、「セットゥール」なんだとか。
フランスではブルターニュ産の羊が良しとされるんだそうですね。「プレ・サレ」。直訳すると、「塩の牧草、。ブルターニュは海に近くて、その牧草は塩を含んでいる。その牧草を食べている羊なので、得も言われぬ味がする、と。
羊の話が出てくる小説に、『ドン・キホーテ』が。もちろん、セルバンテスの物語ですね。この中に。

「羊肉よりは牛肉の多く入った煮込み……」

これは、ドン・キホーテの日々の食事。その時代は牛肉より羊肉のほうが高価だった。つまり質素な食事を指しているわけです。では、ドン・キホーテは何を着ているのか。

「ラシャも上着、ビロードのズボン……」。

うーん、ビロードのズボンもいいですね。ヴェルヴェットは十三世紀のヴェニスにはじまっているそうですから、ドン・キホーテの時代にも、すでに知られていたのでしょう。
ビロードのズボンで。美味しいラムを食べに行きましょうか。

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