福神漬とインヴァネス

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

福神漬は美味しいものですね。
福神漬は明治十九年の春に生まれたんだとか。野田津右衛門が、発明。野田津衛門は、上野、池之端の茶屋の主人。「酒悦」がその名前。
どうして、「福神漬」なのか。これは材料となる、ナス、カブ、ダイコン、ナタマメ、シソ、ウド、タケノコの七つを、七福神に見立てて、「福神漬」となったんだとかそうですね。
福神漬というと、カレーライスでしょうか。カレーライスの添え物といえば、福神漬。
カレーライスと福神漬が出会うのは、外国航路の上で。日本郵船の、一等船室用食堂で、カレーライスに添えて福神漬を出した。洋に対する、和。日本から出て、洋へ。まあ、それはともかく。カレーライスに福神漬を飾るのは、日本郵船の食堂がはじまりなんだという。
明治三十年代に、石川啄木ははじめてカレーライスを食べています。盛岡中学の頃に。盛岡中学での先輩に、野村胡堂がいて、金田一京助がいた。金田一京助が言いはじめて、句会を。この句会を、金田一京助のお姉さんの旅館でやった。句会が終わって、食事が。なにか飯の上にかかって出された。野村胡堂も石川啄木もはじめての食べ物。後で訊いて、それはカレーライスだと。
石川啄木の小説に、『漂泊』があります。この中に。

「インバネスを着て、薄鼠色の中折を左の手に持つて………」

インバネスは、「インヴァネス」 inverness のことでしょう。「中折」は、ソフト・ハットのことです。
インヴァネスは1850年代に登場した旅行用コートのことです。もともとはスコットランド、インヴァネス地方で使われていたところから、その名前があります。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone