ロクフォールとラウンジ

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ロクフォールというチーズがありますよね。
ロクフォールは羊のミルクから造る、青カビのチーズ。たぶん、フランスでもっとも歴史の古いチーズだろうと、考えられています。
ロクフォールが大好きという人は、少なくありません。ロクフォールに上等のバターを添えて頂くと、キリがなくて。
ロクフォールが大好きだったお方に、ジャコブがいます。フランス、ベルエポック期の詩人、マックス・ジャコブ。マックス・ジャコブの詩に、『地獄の界隈』があって、その中に。

ロクフォールから何キロか
近づけば燻製のにしんさながらに
窓から流れる
チーズの匂い
主のみこころよ
願わくはわれらとともに

そんなふうにはじまっています。マックス・ジャコブはロクフォールがお好きだったのでしょう。
ピカソが本格的にパリに出たのは、1902年のこと。1902年からしばらくの間、ピカソはジャコブと共同生活をおくっています。例の、「洗濯船」でも、そうだったのです。
マックス・ジャコブはピカソと一緒に住んだだけではありません。「ピカソは天才」と言った、はじめての人でもあったのです。
パリに行って。ジャコブ通りを歩いたなら、ピカソを、そしてマックス・ジャコブを想い出してみましょう。
パブロ・ピカソが世を去ったのが、1973年のこと。
1973年に発表されたのが、『ウネルヴィル城館の秘密』。これは、アルセーヌ・ルパンの物語なのです。

「ラウルは平服を着て、ボタン穴に花をさし、フォーブル・サンジェルマンのどこかのホテルから出てきたようだった。」

「ラウル」は世を忍ぶ仮の姿。もちろん、アルセーヌ・ルパンのこと。
この物語を読む限り、ルパンはラウンジ・ジャケット姿なんですね。ラウンジ・ジャケットは、1848年ころの、英国で生まれたものと考えられています。窮屈な燕尾服に対して、楽な、寛ぎの上着だったのです。

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