マスタードとチョッキ

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マスタードはほんの少し、どうしても欲しいものですね。
たとえばホット・ドッグを食べる時なんかに。というか、フランクフルト・ソーセージに合うのかも知れませんね。いや、フランクフルトに限らず、ソーセージにはマスタードが添えたくなるものです。
もちろん、ハムにも。ハム・サンドウイッチにはやはりマスタードを塗りたくなってきます。フランスでマスタードといえば、「ディジョン」ということになっています。これは世界的傾向でもありましょう。
ディジョンのマスタードはワインを使って漬け込むので、風味が一段と深くなる。で、「ディジョンのマスタード」ということになります。
ディジョンと、ジョイス。これが意外なところで、接点があるらしい。ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』が出版されたのは、1922年のこと。パリのシルヴィア・ビーチによって。これは広く知られた話でしょう。あの「シェイクスピア・アンド・カンパニー」の、シルヴィア・ビーチ。そのシルヴィア・ビーチが『ユリシーズ』の印刷を頼んだのが、ディジョンの印刷屋だったのですね。
ジョイスで忘れてならないものに、『ダブリン市民』があります。『ダブリン市民』の中に。

「彼の母は、誕生日のお祝いに紫いろのタビネット織のチョッキをつくってくれたことがあったが………」

こんな風にはじまって、えんえんとチョッキについての説明をしています。「タビネット」は、昔の英国にあった、モアレに似た生地のことです。これを一例として、ジョイスがかなり着こなしにも関心のあったことがわかりますね。

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