麗人とピン

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麗人で、英国でといえば、ジャージー・リリーでしょうね。お美しいが上にも、お美しい。まさに、沈魚落雁のお美しさ。
本名は、リリー・ラントリー。かのエドワード七世が皇太子時代に、うっとりとされたほどの佳人であります。
このリリー・ラントリーをモデルに、イギリスの画家ミレー卿が絵を描いて、『ジャージー・リリー』。ラントリーはジャージー島の出身だったから。この絵を観た人みんなボーとなって、それから「ジャージー・リリー」と呼ぶようになったんだそうです。1882年のこと。
1882年のパリで上演されたのが、『フェドーラ』。12月11日。「ボードヴィル座」で。主演は、サラ・ベルナール。というよりも、作者のヴィクトリアン・サルドーが、サラ・ベルナールのために書いた台本だったのです。この演劇があまりにも有名になって帽子の「フェドーラ」が生まれることに。
1882年のロンドンを背景にしたミステリに、『博物学者のピン』があります。ジョン・L・ブーリンの作。この中に。

「ホームズがストックピンを取り戻したあと…………」

『博物学者のピン』は、ストック・ピン stock pin を巡る物語なんですね。
ストック stock は十九世紀後半の、クラヴァットであり、ネクタイであり。頸にぴったり巻きつける式のネクタイ。それを留めるための専用のピンがあったのでしょう。

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