ボルドーとタキシード

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ボルドーはもちろん、ワインですよね。「ボルドーの利き酒」なんてことを言います。
利き酒ではなくて、「聴き音」。「ボルドー・アキテーヌ管弦楽団」というのがあります。一時期、ボルドー・アキテーヌ管弦楽団の指揮者をしていたのが、佐渡 裕。
佐渡 裕が指揮者だった頃、岩城宏之がボルドーにやって来て。佐渡 裕は少年の時からの音楽好きで。岩城宏之が京都に来た時には、サインをもらったほど。
ボルドーで、岩城宏之と佐渡 裕が会って、談論風発。その話の中に。

昔、岩城宏之が地方公演に行くと。たいてい、「サインをしてください」と。でも、名前が売れていることと、顔が売れていることとは微妙に違うらしくて。時には。
「キャー、小澤征爾さん、サインして……」なんてことも。では、岩城宏之としてはこんな時、どうするのか。
そこはさすがに名指揮者でありまして。あわてず騒がず、静かに、「小澤征爾」と書くんだそうですね。
岩城宏之の説によりますと。ガーシュインの『ラプソディー・イン・ブルー』には夏の印象がある、と。
戦後間もなく、アメリカからオーケストラがやってくる。たとえば、ロサンゼルス・フィルハーモニーだとか。彼らはたいてい、ガーシュインの曲を。少年の岩城宏之はそれを聴きに行く。

「ガーシュインは、アメリカのオーケストラで、壮大に鳴りわたった。 ( 中略 ) 六月や七月に来たせいか、夏用の白いタキシードを着ていた。これが「夏はガーシュイン」のルーツだと思うが、どうだろう。」

岩城宏之著『音の影』に、そのように書いています。
たしかに。白いタキシードに、赤いボルドーはよく似合いますよね。

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