ボルドーとチョッキ

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ボルドーはもちろん、銘酒の故郷ですよね。ボルドーのひとつに、ムートン・ロートシルトがあります。
ある時、ある日本の作家が、ムートン・ロートシルトのシャトーを訪ねる。吉行淳之介なんですね。吉行淳之介著『男と女のこと』に出ている話。
ムートン・ロートシルトのシャトーに案内された吉行淳之介、こんな質問を。

「若いブドウ酒は処女の味で、それから年増の良さが出て……、七十歳になったものに旨いものがありますか」

これに対するムートンの担当者の答え。

「それは稀であって、グレタ・ガルボである。」

この話には続きがあって。吉行淳之介はこう締めくくる。

「ドイツであったら、「マルリーネ・ディートリッヒである」となったわけだ。」

ドイツにも銘ワインはあって。ドイツのワインが出てくる小説に、『ブランデンブローク家の人々』が。
トーマス・マンが、1901年に発表した物語。ただし小説の背景は、1830年代から1870年代にかけてのこと。

「黄金色の古いマルヴァージア・ワインが小さな食後酒用のワイン・グラスに注がれると……」

もちろん、ブランデンブローク家での食事風景。マルヴァジアは、葡萄品種の名前。どの銘柄かはわかりませんが。また、こんな描写も。

「天鵞絨のチョッキには二列に並んで宝石のボタンが光っていた。」

これは、レーブレヒト・クレーガーの着こなし。宝石のボタンとは申しませんが。なにかダブル前のチョッキを着て。美味しいワインを飲みたいものですが……。

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