ロッシーニと礼装

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ロッシーニといえば、『ウィリアム・テル序曲」でしょうね。あるいはまた、『セビリアの理髪師』だとか。
『セビリアの理髪師』の初演は、1816年。イタリア、ローマの、「アルジャンティナ劇場」で。それというのも『セビリアの理髪師』は、「アルジャンティナ劇場」の支配人が依頼したからなんですね。
ロッシーニが作曲にとりかかったのが、同じ年の1月16日。ロッシーニ自身は、「十三日で仕上げた」と、言ったそうですね。いったい何を召しあがっていたのか。
ロッシーニは名だたる美食家で、ことにフォアグラがお好きだった。今に、「トルネード・ロッシーニ」にその名を遺しています。これはフォアグラを添えたトルネードのこと。トルネードは渦巻き風の、筒状の料理。
このトルネードが出された宴が、「ザ・ジャパン・ソサエティ」の夕食会。「ザ・ジャパン・ソサエティ」は、1891年に結成された、日英友好協会のことです。
この「ザ・ジャパン・ソサエティ」第一回の晩餐会に、トルネードが出た。その名前が、「トルネード・ア・ラ・ウシワカ」。牛若丸風のトルネードだったのでしょう。1892年6月23日のことでありました。ホテル・メトロポリタンで。
北村 汎著『英国診断』に出ている話なんですが。また、こんなことも紹介されています。

「ヴェストン・ノワールという略礼装 __ 黒のモーニングのテールのない上衣にモーニング用の縞ズボンを合わせる __ にボーラーハットをかぶっているのが、当時の外交官であり、弁護士であり、銀行員であり、会計士であった。」

「当時」とは、1950年代の、英国。ブラック・ジャケットを、なぜかフランス風に、「ヴェストン・ノワール」と、呼んでいたんですね。
今も、「ヴェストン・ノワール」はもっと着て良いのではないでしょうか。

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