マリーとヴェルヴェット

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マリーで、画家でとなれば、マリー・ローランサンでしょうね。マリー・ローランサンがモオムの絵を描いたことがあるんだそうですね。1950年頃のこと。モオムとはもちろん、サマセット・モオムです。
マリー・ローランサンはどうしてモオムの肖像画を描くことになったのか。南仏で、家が近くでもあったから。それにモオムはマリー・ローランサンの絵をいくつか持っていたから。マリー・ローランサンとしては、以前自分が描いた絵を観ておきたくもあったのでしょう。
マリー・ローランサンは何度かキャップ・フェラの「モレスク荘」訪れたという。まったくの余談ですが。モオムはとびきりの美食家でもあって、腕のたしかな料理人を雇っていて。モオムの「モレスク荘」での食事は夢のようであるとして知られていたのですね。
それはともかく、マリー・ローランサンはモオムを、描いた。そのモオムは部屋着姿で、驚いた顔をしている。なぜ、ドレッシング・ガウンなのか。なぜ、驚いた顔なのか。
マリー・ローランサンが「ドレッシング・ガウンで」と言ったから。その理由。
「私、まだ、男の人のカラーとタイを描く練習の暇がなくて・・・・」。
では、どうしてモオムは驚いた顔なのか。マリー・ローランサンはモオムの顔を描いている間中、自分の人生を語って聞かせていたから。
モオム自身はその肖像画を他人には見せようとはしなかった。どうしても見たいというには、見せた。その時には必ず誰もが知っているピカソの話を引き合いに出したそうですね。
「ある時、ピカソが、ガートルード・スタインの肖像画を描いた。その時、ガートルード・スタインは言った。「あら、私には似てないわね。」これに対するピカソのひと言。「なあに、ご心配なく。そのうちに似てきますよ。」」
モオムは絵を描いてもらった後。着ていたドレッシング・ガウンを、マリー・ローランサンにプレゼントしたそうですが。
サマセット・モオムが1944年に発表した物語に、『かみそりの刃』があります。原題も同じく『ザ・ラザーズ・エッジ』です。この中に。

「頭にはこれもベレー風のビロード帽子を被り、どう見ても宮廷人らしい伊達姿でした。」

これは夢のような幻想のような体験として、出てくるのですが。
それはともかく、もしヴェルヴェットのベレーがあったら、被ってみたいものです。たしかマリー・ローランサンの絵にも描かれてような記憶があるのですが。

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