ジョサとジャボ

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ジョサという名前の人がいるんだそうですね。
マリオ・ガルバス=ジョサ。ペルーに生まれた作家。2010年にはノーベル文学賞を受けています。
ところが、「リョサ」とも。ほんとは、Mario Vargas Llosa と書く。つまり Llosa をジョサと訓むのか。リョサと訓むのか。日本語訳の本にも、「リョサ」もあれば、「ジョサ」もあります。まったく固有名詞の訓み方は、難しいですね。
そのリョサでありジョサでもある作家は、1936年3月28日。ペルーの、アレキーパーという場所で生誕しています。小さい頃には、ボリビアでも過ごしたようですね。1953年には、「サン・マルコス大学」に。この頃からすでに小説を書きはじめていたという。
マリオ・ガルバス=ジョサが2006年に発表した『悪い娘の悪戯』を読むと、パリの話が出てきます。

「そして、タマル、トルティーリャ、カルニータス、エンチャラーダ入りの包みを受け取ると、冷めてしまう前にどうにかこうにか、ねぐらにしていた安宿オテル・デュ・セナの屋根裏部屋へと帰りつくのだった。」

これは、サン・シュルピス広場に近い、メキシコ料理店「メヒコ・リンド」での話なんですね。ということは、パリにも一時期住んだことがあるのでしょう。
ジョサの友人にやはり作家の、ホセ・ドノソがいます。ホセ・ドノソはある時、ジョサとジョサの子どもが遊んでいるのをみて、ふっと想が浮かんだ。それが、『別荘』。1978年の発表。この中に。

「まばゆい制服と真っ白いジャボを身に纏った三人の召使いがそこヘ入場し………」。

「ジャボ」 jabot は、シャツの胸元のフリル飾りのこと。ジャボはもともと十八世紀の習慣から、生まれたものです。
十八世紀のシャツに、前ボタンはなかった。その代り細紐で、開け閉じした。その前開きがいかにも見苦しいので、大きなフリルを付けることで、隠した。そのフリルが、ジャボのはじまりなのです。

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