金と絹スーツ

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金は、ゴールドのことですね。黄金のことであります。「金」と書いて「かね」と訓むのか、「きん」訓むのか、大きな違い。
「かねの茶釜」と、「きんの茶釜」とではまったく異なってしまうように。ここでは「金」 (きん ) の話なんですが。
金は金属。繊維とは関係なさそうにも思えるのですが。そうでもなくて、金襴。昔から金襴という生地があります。ほんとうに金を織り込んであるので、金襴。まさか金襴を知らないとは言わせません。

♬ 金襴緞子の帯締めながら 花嫁御寮はなぜ泣くのだろ

童謡にもちゃんと歌われているではありませんか。絵師の蕗谷虹児が作詞した『花嫁人形』に。「金襴」は、金襴、「緞子」は緞子。本来は別々の布なのですが、たぶん詩の強調としての「金襴緞子」なんでしょうね。二番目の歌詞が。

♬ 文金島田に髪結いながら 花嫁御寮はなぜ泣くのだろ

「島田」は、昔の女の人の髪型。江戸時代にはごく一般的でした。髪をぜんぶ引っ詰めにして、頭の上でまとめて、紙紐で結んでおく。この髪紐のことを、「元結」と言ったのです。ただし、その訓みは、「もっとい」。日本語、難しいです。
「島田」は静岡の島田宿の女が好んだので,「島田」。島田なんですが、それをうんと高く結い上げるのが、「高島田」。女の正式な髪型とされたものです。この島田の髪型を崩さないように使ったのが、箱枕。さぞかし難儀なことであったでしょうに。誰かが言ったように。
「美しくあるためには、苦しまななくてはならない。」
のかも知れませんが。いや、金の話でしたね。フリーマントルのミステリに、『黄金をつくる男』があります。原題は、『ザ・マイダス・マン』。マイダスはギリシャ神話に出てくるミダス王のこと。ミダス王が手で触れるものすべて金に変わったという伝説があります。邦題の「黄金」には「きん」のルビがふってあるのですが。『黄金をつくる男』の中に。

「紫がかったグレーのみごとなデザインのシルク・スーツをまとい…………」。

これはサウジアラビアの、チューフィク・ハッサン王子の装い。
うーん。王子にはなれそうもありませんが。絹スーツは一度、着てみたいものですね。

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