かなりやとボヘミアン

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かなりやは、可愛い鳥ですよね。かなりやを歌ったものに、『ブルー・カナリー』があります。
♬ ブルー、ブルー、キャナァーリ…………。
そんな風にはじまる歌。1953年に、ダイナ・ショアが歌って、拍手喝采となっています。
でも、どうしてあの可憐な鳥が、「かなりや」 canary なのか。これはどうも、カナリア島と関係があるみたいですね。では、さらに、なぜ「カナリア島」なのか。これはラテン語で「犬」を意味する、「カニス」 canis から来ているんだそうです。昔、むかし、この島には独特の、大きな犬がいたらしいのです。
かなりやで、童謡でといえば、『かなりや』でしょうか。
♬ 歌を忘れたかなりやは…………。
そんな風にはじまるんでしたね。『かなりや』は、西条八十の作詞。これは大正十一年『赤い鳥』に発表されたものです。が、発表当時は、「かなりあ」。後に「かなりや」に改められています。
『赤い鳥』は、大正七年に創刊された童話雑誌。鈴木三重吉がはじめたものです。『赤い鳥』の創刊号は「七月号」として、六月に出ています。この『赤い鳥』創刊号に、童話を書いたのが、島崎藤村。いや、そればかりか、芥川龍之介、菊池 寛、佐藤春夫、宇野浩二…………などの錚々たる文士たちだったのです。その時代に、『赤い鳥』の与えた影響は、けっして少なくないと思われます。
鈴木三重吉が書いた小説に、『桑の實」があります。大正ニ年のことです。この中に。

「黑い長いネクタイを大きく結び切りにして垂れてゐられた。さういふ風にしてゐられても少しもけばけばしくお見えにならないところが却つて人を引くやうに思へた。」

これは「青木さん」という人物の着こなし。「黑い長いネクタイ」は、ボヘミアン・タイではないでしょうか。
それというのも、大正六年に写された鈴木三重吉の写真を見ると、サマー・スーツにボヘミアン・タイを結んでいるからです。
この一葉の写真だけからも、鈴木三重吉が、そうとうの洒落者であったことが、よく分かるのですが。

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