アイシングとアイヴォリー

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

アイシングは、砂糖がけのことですよね。「アイシング」にもいろんな意味があるんでしょうが、ここでは美味しいアイシングのこと。たぶん表面の砂糖がけを、氷に喩えて「アイシング」なんでしょうね。
たとえばシナモン・ロールがあったとして。その上に砂糖が白くかかっている。それが、アイシング。美味しい。でも、器用ではない私は、たいてい口の周りまで、アイシングにしてしまうのですがね。
アメリカには古くから、「パーカーハウス・ロール」というパンがあるんだそうですね。バターをたっぷり使ったパン。ちょっとクロワッサンにも似た三日月型に仕上げられることが多いみたいです。
十九世紀のボストンに、「パーカーハウス」という高級ホテルがあった。この「パーカーハウス」で、よく出していたので、「パーカーハウス・ロール」の名前になったんだそうです。
ロール・パンが出てくる小説に、『ささやかだけれど、役にたつこと』があります。1982年に、レイモンド・カーヴァーが発表した物語。

「彼はオーヴンから取り出したばかりの、まだ砂糖が固まっていない温かいシナモン・ロールを出した。バターをテーブルの上で置き、バターナイフを添えた。」

「彼」とは、パン屋の主。パン屋で、アンとハワードがパンを食べる場面。パン屋で、窯から出たばかりのパンを食べる。これは理想ではないでしょうか。それも、アイシングの、シナモン・ロールに、バターを添えて。もうほとんど夢の世界の美味となるでしょう。
『ささやかだけれど、役にたつこと』の中に。

「三つ揃いのブルーのスーツを着て、ストライプのネクタイをしめていた。そして象牙のカフスボタン。」

これは、フランシス医師の着こなし。アイヴォリーのカフ・リンクス。いいですねえ。金や銀はほとんど色が変わらない。でも、アイヴォリーなら、色が変わる。ゆっくりと、少しづつ、琥珀色に。その永い間の、「熟成」がまた良いのでしょう。アイヴォリーのカフ・リンクス、ひとつ欲しいものです。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone