ポーンとボマー

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ポーンは、チェスの駒のことですよね。ポーン pawn はもともと「歩兵」こと。ちょっと将棋の「歩」にも似ています。ポーンは、前にだけひとつ進んで、後ろには下がれない。
チェスの歴史は、紀元前二千年の頃からあったらしい。伝説によれば、バラモン教徒の、シャサという人物が考えたんだとか。シャサは王に、王も人民がいないくては生きられないことを教えるために、ゲームを考えた。それは最初、「チャトゥランガ」と呼ばれた。王はたいそう喜んで、シャサに褒美を与えたという。
このゲームはやがてペルシアに伝わり、ペルシアからインドに。そこからだんだんと世界に広まったんだそうね。江戸時代の日本でも、長崎では密かにチェスが行われていたという。
1970年代にチェスの世界チャンピオンになったのが、フィッシャー。ボビー・フィッシャー。アメリカ人としては世界初の、チャンピオンでありました。日本の羽生善治は、ボビー・フィッシャーについて、こんな風に言っています。

「チェスの世界のモーツアルト」。

たしかに、フィッシャーは天才で、奇人でありました。
1970年代まではなぜか、ロシアが圧倒的にチェスの勝利国だった。アメリカとしてはこれが面白くない。キッシンジャーは、フィッシャーに電話して、「ぜひとも、ボリス・スパスキーと対戦するように」。これは当時の、ニクソン大統領の意向でもあった。もし、フィッシャーがスパスキーと対戦したなら、勝ち負けに関係なく、ホワイトハウスに招待することになっていたから。
1972年7月11日。スパスキーとフィッシャーの対戦は、アイスランドで行われて。フィッシャーの勝利。
フィッシャーがチェスをはじめたのは、七歳の時。それ以来、チェスを手放すことがなかった。風呂に入る時も、チェス盤を片手に。
ミステリにチェスを織り込んだのが、『オーシャン・パークの帝王』。2002年に、スティーヴン・L・カーターが発表した物語。この中にに。

「豊満で伸び伸びとした体、ジーンズにボマー・ジャケット。」

これは船の甲板に立つ女性の姿なんですが。ボマー・ジャケットは、アメリカ軍の爆撃機の制服。俗な言い方をすれば、革ジャン。でも、さすがに機能的で、実に温かいのです。

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