ペンとピー・ジャケット

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ペンで、よく使われるものに、万年筆がありますよね。その昔、万年筆が女性のおしゃれの秘密兵器だった時代があるんだそうです。
それは、第二次大戦中のこと。第二次大戦中のヨーロッパでも、物資不足。女の人が困ったもののひとつに、ストッキングが。その時代ですから、主に絹靴下。絹の靴下がそう簡単には買えなくなってしまったのです。
今のようなナイロン・ストッキングは、戦後になってから。1940年代以前には、まだ見ぬ夢物語だったのですね。
絹靴下が店には出回らないので、いたし方なく、素足で。当時の常識としての素足は、レディにとって耐えがたい。で、脚の後ろ、中央に、万年筆で線を引いた。もちろんふる・ファッションの、シームの代わりとして。そんなわけで、大戦中には、万年筆が必携だったのですね。
ミステリ、『狐たちの夜』にも絹靴下が出てきます。ジャック・ヒギンズが、1986年に発表した物語。ただし物語の背景は、第二次大戦中の、英国領、ジャージー島になっているのですが。

「セアラが坐って絹のくをはき、靴下留めで留めた。「驚いたわね!」ヘレンが言った。「そんな物、もう四年も見たことがないわ………」 」

セアラ・ドレイトンは、看護婦という設置。『狐たちの夜』にはこんな描写も出てきます。

「その男は白のセーター、古ぼけたリーファー・コートに船乗り用のブーツをはいて雑嚢を持っていた。塩のしみのついた海軍帽の下の顔はにこやかで,向こう見ずな魅力をたたえている。」

これはイタリア海軍の、グイード・オルシニ中尉の様子なんですね。ここでの「リーファー・コート」は、ピー・ジャケットのことかと思われます。
着古して、年季の入ったピー・ジャケットもまた、貴重品でしょうね。

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