シムズとシルク

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シムズという人が、むかしいたんだそうですね。フレドリック・リチャード・シムズ。Simsと書きます。
フレドリック・リチャード・シムズは、ハンブルクに生まれたイギリス人。このシムズは子どもの頃から機械好きで、とうとう技術者になった人物です。
シムズは16歳の時に。ブレーメンでエンジンに出会う。ブレーメンで、エンジンの展示が行われていたので。それは、ダイムラーが発明したエンジンだったのですね。
シムズはすぐにダイムラーと交渉して、英国での権利を譲りうけることに。で、作った会社が、「デイムラー・モーター・シンディケイト」。ドイツ訓みが、「ダイムラー」、英語訓みが、「デイムラー」。
「デイムラー・モーター・シンディケイト」は最初、エンジンを売る会社だったのですが、やがて自動車そのものを販売するようになったものです。つまりドイツに「ダイムラー社」があり、イギリスに「デイムラー社」があったことになります。
二十世紀はじめの、英國の「デイムラー」は、高級車の中の高級車として知られていたものです。その「デイムラー」が出てくるミステリに、『生ける死者に眠りを』があります。フィリップ・マクドナルドが、1933年に発表した物語。

「ノーマン・ベラミーはゆったりとした乗心地のデイムラーの大型サルーンで六時半に到着した。」

ここから物語がはじまるわけですが。また、『生ける死者に眠り』には、こんな描写も出てきます。

「ジョージ・クレシーは湯上りで火照った体の下半身には黒いズボン、上半身には白いリネンという出で立ちで……………」。

ジョージ・クレシーは、夕食のために、ディナー・ジャケットを着ようと している場面。そしてこのドレス・トラウザーズは、シルク。いいですねえ、絹の礼装用ズボン。
シルクのトラウザーズで、古いデイムラーに乗れたなら、最高の気分でしょうね。

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