枇杷とブレイシーズ

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枇杷は、美味しいものですよね。まず第一に、あの黄色い形が「食べてください」と、囁いているではありませんか。
枇杷がウールと関係ありといえば、驚かれるでしょうか。枇杷とウール。まったく無関係でもありません。
枇杷をうんと難しく申しますと。「エリオボトルヤ・ジャポニカ」。これが枇杷の学名であります。「エリオボトルヤ」 erIobotrya は、ギリシア語の「エリオン」から来ています。ギリシア語の「エリオン」は、「羊毛」の意味なのです。直訳するなら、「ウールに包まれた葡萄」ということになります。
枇杷といえば、茂木。今も昔も極上の枇杷は茂木に産出します。茂木は、九州、長崎の町。1840年頃に。中国から茂木に枇杷が伝えられて。以来、茂木で枇杷の品種改良が行われてきたからなのです。
「枇杷」を詩に詠んだのが、西脇順三郎。

そびえ立つ枇杷の実をむく
小鳥の眼の
女の旅人の手は無限に白い

西脇順三郎の『枇杷』は、この三行で締めくくられているのですが。西脇順三郎は鼻眼鏡の似合うダンディでもありました。1933年に写された写真を見ると。すでにタブ・カラーのシャツを着ています。
西脇順三郎の詩に、『内面的に深き日記』があって。

色彩のきはめてよいズボンツリを購ひ
首府を去りてさうして三日にして
砂地のちきょうにおのれ自身を見る

「色彩のきはめてよいズボンツリ」とは、どんな色なのでしょうか。ヴィオレ、ピンク、それとも枇杷色。
ここでの「ズボンツリ」は、もちろんサスペンダーのこと。イギリスではふつう、「ブレイシーズ」と言います。
さて、なにか好みのブレイシーズで、枇杷を食べに行くといたしましょうか。

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