ブレスレットとブレイザー

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ブレスレットは、腕環のことですよね。腕環はアクセサリイですから、好みのものを選べるわけです。嵌めるか嵌めないのかをも含めて。
もっとも、機能的なブレスレットがないわけでもありません。「アイデンティティフィケイション・ブレスレット」は、その代表でしょう。細長い、やや湾曲したプレートをあしらったブレスレットのこと。このプレート裏には、血液型や信仰する宗教が記されているものです。いざという時には、なにかと役立ってもくれるのでしょう。
一方、愉しいブレスレットに、「ウイムジカル」 whimsical があります。「気まぐれブレスレット」。たしかにブレスレットなんですが、そのまわりに貝や星やハートなどをちりばめたブレスレットのことです。
ブレスレットは、古代エジプトの時代からすでにあったそうですね。古代エジプトにあったということは、古代ギリシアにももちろん、ありました。たとえばゴールドの、蛇の形のブレスレットだとか。古代ギリシアでの「蛇」は、信仰の対象でもあったらしい。
ブレスレットの出てくる小説に、『皇太子のお気に召した娘』。これは1930年『カレッジ・ヒューマ』2月号に発表された物語。当時は、スコット・フィッツジェラルドと、ゼルダ・フィッツジェラルドとの共作とされた短篇。ただし現在では、ゼルダ・フィッツジェラルドの作だろうと、考えられています。
『皇太子のお気に召した娘』は、「ヘレナ」が主人公。そのヘレナのことを語り手である「私」が物語る構成になっています。私は勝手にこれは本当にあった物語だと、考えているのですが。
場所は、巴里。時代は、1920年代末。ということになれば、ごく自然に「皇太子」が後のウインザー公であるのは、動かせないところでしょう。つまり後のウインザー公は、1930年にシンプソン夫人と出会う前、「ヘレナ」とのロマンスがあったものと思われるのですが。
それはともかくとして。『皇太子のお気に召した娘』の中に。

「世界にはロマンスが健在であるということを証言するあのブレスレットを、彼女が手放すことは決してないと思う。」

つまり、当時の英國皇太子は「ヘレナ」に、ブレスレットを贈ったわけですね。また、『皇太子のお気に召した娘』には、こんな描写も。

「五大湖のまわりから、西部中から青いブレザーを着たカナダ人やアメリカ人が……………」。

これは同じ時代の、夏。レガッタ見物に訪れる人たちの様子。1920年代末のアメリカで、いかにブレイザーが流行していたかが分かるでしょう。
ブルー・ブレイザーを着た時、どんなブレスレットをしましょうか。

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