エレヴェーターとエレガンス

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エレヴェーターは、重宝な乗物ですよね。ただボタンを押すだけで、好みの階数まで楽に移動させてくれるので。たとえば48階まで歩いて昇ろうとすると、一汗くらいでは済みませからね。
実用的なエレヴェーターが発明されたのは、1852年のことなんだそうですね。ニューヨークの技術者、イライシャー・グレイヴス・オーティスによって。
オーティスはエレヴェーターの「箱」の両側に、歯車を付けることを思いついた。両側に歯車があれば万一の時でも、ストッパーの役となって安全を保つことができたわけです。
「エレヴェーター」はふつう、アメリカで多く用いられる言葉。イギリスでは、「リフト」の名前で呼ぶらしい。そしてフランスでは、「アッサンスール」。ところが、十九世紀末のフランスでは、イギリス英語をそのままに、「リフト」と呼んだという。

「すると私がまだ知らない「リフト」と呼ばれる人物が………………」。

マルセル・プルースト著『失われた時を求めて』には、そのように出ています。これは新しくできた「バルベック・グランドホテル」での様子。そのためにエレヴェーター・ボーイのことを、「リフティエ」と称したという。また『失われた時を求めて』には、こんな描写も出てきます。

「おそらく正真正銘のエレガンスは、偽のエレガンスよりずっと簡素に近いのであろう。」

これはある紳士が前よりも簡素なスーツに着替えた時の、印象として。
エレガンスからはるか遠い私は、せめてエレヴェーターに乗る時くらい、大人しくいたしましょうか。

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