ポークとポンチョ

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ポークはまあ、豚肉のことですよね。豚肉はどうやって食べるのか。これも人の数だけ、食べ方もあるのでしょう。
吉本隆明には、「ヨシモト鍋」があったらしい。豚ロースと白菜の鍋もちろんヨシモト流儀で。
豚の角煮がお好きだったのが、吉田健一。

「豚の味が消えてしまう一歩手前まで行って、そこで踏み止まることで味がしてくる。」

吉田健一著『私の食物誌』に、そのように書いています。豚の角煮の本場は、やはり長崎でしょう。沖縄にはラフテーがあります。ラフテーも角煮も、たぶんトンポーローが源かと思われます。
中国の詩人、蘇東坡が考案したので、その名前があります。1079年頃のことだそうですから、古い。1079年頃、蘇東坡は左遷。あまりに仕事ができすぎたので。黄州に島流し。そこで黄州の豚の美味いことを発見。美味い豚をどうすればもっと美味く食べられるか。その試行錯誤の果てに、トンポーローが生まれたんだそうですね。
ポークとまんざら関係なくもないのが、ハモン・セラーノ。もちろん、生ハムであります。煮込みに煮込むのに対して、ただひたすらに乾燥させて、旨味を引きだす。ハモン・セラーノが出てくる小説に、『はるかな星』があります。ロベルト・ボラーニョが、1996年に発表した物語。

「僕は突然空腹をおぼえ、幸せな気持ちになった。ウェイターに合図した。ハモン・セラーノを挟んだフランスパンとビールを注文した。」

また、『はるかな星』には、こんな描写も出てきます。

「汚れていない壁、金属製の本棚にきちんと並べられた本、南部特産のポンチョがかかった肘掛け椅子。」

どうしてここに「ポンチョ」が出てくるのか。舞台背景がチリなので。チリでは今なおポンチョは民族衣裳のひとつなのかも知れませんね。
時にはポンチョを羽織って、トンポーローを食べに行きたいものですが。

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