萬古焼と万能服

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萬古焼はよく見かけますよね。たとえば、急須。萬古焼の急須は珍しくはありません。落ち着いた光沢があって、飽きのこない生活器であります。
萬古焼は、そもそも江戸期の、桑名にはじまっているんだそうです。
桑名の、沼波弄山が、1730年頃に考案したとのことです。沼波弄山は、自分が焼いた器に、「萬古不易」の銘を入れた。そこから今に、「萬古焼」の名前があるんだとか。萬古不易は、永遠に変わることのない真理の意味なんだそうです。

「職人は、ロクロの廻転が弱まると、盤面にある小さい穴に棒をつっこんで一ト押し押して廻転を早めた。穴のありかをことさら探さなくとも習練によってひとりでに棒の先が穴にはまるのだった。」

丹羽文雄は、『萬古焼』と題する随筆の中に、そのように書いています。丹羽文雄は、明治三十七年、四日市の生まれですから、幼い頃から萬古焼の工場を見て育ったのだ、とも書いています。
丹羽文雄の『萬古焼』は、1958年『暮しの手帖』秋号に掲載された文章。その少し前の頁に、「男の子の服」が出ています。これはアメリカの『ペアレンツ』誌からの、転載。
「男の子の服」は、シングル前三つボタン、上二つ掛け型になっています。トゥイードの上着にフランネルのトラウザーズ。
ここにも、「萬古不易」が。
佳いものはいつの時代にも変わらないものなのでしょう。

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