ヴァン・クリーフとヴィキューナ

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ヴァン・クリーフで、宝飾でといえば、「ヴァン・クリーフ・エ・アルペル」でしょうね。今も昔も、巴里のプラス・ヴァンドームにある美事な宝飾店。
ヴァン・クリーフ・エ・アルペルは、1906年にはじまっているんだとか。当時のことですから、ごく限られた人への、註文宝飾の店として。
ジュリアン・アルペルと、アルフレッド・ヴァン・クリーフとが開いたので、「ヴァン・クリーフ・エ・アルペル」の名前にしたんでしょう。もっともジュリアンには兄弟がいて。ルイ・アルペルも、シャルル・アルペルも参加しているのですが。
アルペル家は、そもそも宝飾師の家柄だったようですね。
ヴァン・クリーフ・エ・アルペルは、まあ貴族専用の店であったのですが。1930年に突然、話題に。それはゴールドの糸で編んだハンドバッグを完成させたからであります。1935年には、「ミステリ・セッティング」を。
ミステリ・セッティングはダイヤモンドの指環。ダイヤモンドの下の支えがまったく見えない構造だったので、ミステリ・セッティングと呼ばれたものです。
ヴァン・クリーフが出てくるミステリに、『戦場の犬たち』があります。

「ヴァン・クリーフは頭を振ったが、すぐに、その所作がだれにも見えないと悟って、面映ゆい気がした。」

ここでの「ヴァン・クリーフ」は、英国出身の大尉という設定になっています。
『戦場の犬たち』は、フレデリック・フォーサイスが、1974年に発表した物語。イギリスにも、ヴァン・クリーフの名前、あるんですね。また、『戦場の犬たち』には、こんな描写も。

「調べはついたかね?」
ヴィキューナのコートを脱いで、造り付けの衣装戸棚に掛けながら、ジェームズ・マンソン卿はたずねた。

ジェームズ・マンソン卿は、ある企業の会長ということになっています。貴族にして、会長。なるほど、それならヴィキューナのコートはお似合いでしょうね。
ヴィキューナのコートを羽織って、ヴァン・クリーフ・エ・アルペルへ、宝飾を註文に。夢のまた夢ではありますが。

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