ジー・トロアとジーパン

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ジー・トロアという言葉が、昔あったんだそうですね。第二次大戦中の、フランスに。
「J 3」 と書いて、「ジー・トロア」。ジーサンとは訓まないでくださいね。
「J」は、ジュネスの、J。英語の「ヤング」でもありましょうか。J 1があって、J2があって、「J3」。よちよち歩きの子もいれば、ロウティーンのJ2 もあって、つまりはハイティーンのことを、「J3」。
これは、戦時中の食料配給と関係があります。今は食料が自由に買えます。が、戦時中は、配給。家族構成によって、それだけ分の食料が買えたのです。
「J3」は、育ちざかり、伸びざかりですから、優遇された。ひと月に老人は、チョコレート一枚。でも、J3には三枚ものチョコレートが。
もちろんチョコレートはたとえばの話ですが、食料配給の目安のひとつに、J3があったわけです。
この話は、瀧澤敬一の随筆、『リヨン通信』に出ています。
食料配給はなにもフランスだけのことではなくて、イギリスにもありましたし、日本にもありました。「切符制」。家ごとに「切符」が配られて、その「切符」の範囲内で食料が買える仕組だったのです。
瀧澤敬一の『リヨン通信』は、戦中、戦後のJ3の様子を細かく、詳しく、書いています。

「はなはだおしゃれで、ファッションを追い、はやるとあれば、赤シャツ、赤靴下、恐ろしく細いズボンをつけ、またあまり恰好のよくないブリュー・ジェーンを着こんでいる。」

いうまでもなく、J3 のスタイルなのですね。「ブリュー・ジェーン」とは。後の、ジーパンのことなのです。
現在のようにフランスでアメリカ語の「ジーンズ」が一般的になるのは、比較的最近のこと。それまでには呼び方が、千変万化したものです。

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