カーとカッタウエイ

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カーで、ミステリでといえば、ジョン・ディクスン・カーでしょうね。ジョン・ディクスン・カーは、1906年11月30日。アメリカ、ペンシルバニア州、ユニオンに生まれています。れっきとしたアメリカ人なのです。
でも、ときどき英国人とされることがあります。ジョン・ディクスン・カーは、1932年からほとんどイギリスで暮しているからでしょう。では、どうして英国に住むことになったのか。英国人の、クラリス・クリーヴスと結婚したから。1920年代末、カーは客船の中で偶然にクラリスと出会って、恋愛。幾多の壁を乗り越えて、結ばれたという。
カーは、1930年の『夜歩く』が第一作。その前の年、1929年に、エラリー・クイーンが、『ローマ帽子の謎』でデヴュー。ということは、1930年代は、第一次ミステリ黄金期ともいえるでしょう。1930年代なんて古いといえばそれまでのことですが、ミステリを通して時代の空気が感じられるとの負け惜しみもまた、言えるかも知れません。
たとえば、嗅ぎ煙草入れ。スナッフ・ボックス。スナッフ・ボックスは十九世紀の洒落者の流行。1930年代だってすでにカビくさいものだったのです。が、カーには『皇帝のかぎ煙草入れ』があります。
そういえば、エラリー・クイーンにも、『チークのたばこ入れの冒険』があるのですが。この中に。

「モーンング・コートを着て、襟のボタン穴に花を飾った、にやけた青年が、控え目に咳払いをした。」

これは、フリスという若者。1947年頃のニューヨークには、まだモーニング・コートが珍しくはなかったのでしょう。
アメリカではふつう、「カッタウエイ」と言います。カッタウエイ・フロックコートを半分にして、「カッタウエイ」と。もちろん、「前裾を切り落としたフロック」の意味です。
カッタウエイではありませんが、なにかドレッシーな服装で、カーの初版本を見つけに行きましょうか。

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