フーディーニとフーラード

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フーディーニは、十九世紀に人気のあった魔術師ですよね。フーディーニは魔術をする際の藝名。ハリー・フーディー。本名は、エリック・ヴェイス。1874年3月24日に生まれています。
エリックのお父さんは、ハンガリー、ブダペストの人。でも、1873年には、アメリカ、ウイスコンシン州、アップルトンに移住。エリック少年は、このアップルトンで育つことに。
エリック少年が六歳頃のこと。アップルトンの町に、サーカスがやってきた。「ジャック・ホッファー・サーカス」。ジャック・ホッファー・サーカスのひとつが、「マーリン・マジック」だったのです。
エリックは、マーリン・マジックに魅せられて。呆然自失。客が皆帰ってからも、席から動くに動けない。そのエリックの前にやってきたのが、マーリンという魔術師。
「どうだい、気にいってくれたかい?」
と言って、コインを消す手品をやってくれ、その種あかしさえしてくれた。その次の日からエリック少年は、練習につぐ練習。やがて街頭に立って、マジックを見せるようになったのです。エリックが街でマジックを披露すると、投げ銭が飛ぶように。
ここからだんだんとプロのマジシャンとして認められるようになったのです。
フーディーニはアメリカでこそ有名でしたが、イギリスでは無名。そこではじめて、単身でイギリスに渡る。でも、興行師が見つからない。そこで、ある不動産屋の主人を、無理矢理、スコットランドヤードに連れて行く。スコットランドヤードの警官に、とくにお願いして手錠をかけてもらう。と、フーディーニは警官の前、不動産屋の前で、あっという間に、手錠を外した。これで、不動産屋は、興行主になってくれたそうです。
フーディーニが出てくる小説に、『別居』があります。ジョン・アップダイクが、1960年代に発表した短篇。

「それは偉大な魔術師フーディニが脱出する前に身のまわりの物をきちんと整頓するのに似ていた。」

ジョン・アップダイクが、ほぼ同じ頃に書いた小説に、『恋人からの電話』があります。この中に。

「人差指でマックのネクタイ ( 夏用のタータンチェックだった ) にさわり、その指を上から下まで走らせ……………………。」

これは、「ジョウン」という男の仕草なんですが。
「夏用」ということから勝手に、フーラードを想像してしまいました。fou l ard は、ごく薄い、綾絹。むかしは、夏用おネクタイ地によく用いられたものです。
なにか好みのネクタイを結んで、マジックを観に行くとしましょうか。

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