パブロとパナマ

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パブロは、わりあいスペインには多い名前みたいですね。たとえば、パブロ・ピカソだとか、パブロ・カザルスだとか。
パブロ・カザルスは、名チェリスト。パブロ・ピカソは、名画家。このふたりの巨匠には、ひとつの共通点があります。同じ年に、世を去っているのです。1973年に。ピカソは、91歳。カザルスは96歳でありました。巨匠は、長生きするものなのでしょうか。
晩年のパブロ・カザルスは、心臓が必ずしも完全ではなかったという。そのために、万一に備えて、演奏会場に、酸素呼吸器を用意して。結局、カザルスがそれを使うことはなかったのですが。
ある日の演奏会で、カザルスの音楽に感動した婦人が倒れた。この時、酸素呼吸器が役だったそうです。
1957年に、パブロ・カザルスは、結婚。カザルス、八十歳の時。新婦は、二十歳の、マルタ・モンタニエス。この時、医者はカザルスの心臓を心配して、言った。「生死にかかわることになるかも知れませんよ。」パブロ・カザルスは、しばらく考えこんだ後、こう言ったという。

「もし、彼女が死ぬのであれば、いずれは死ぬのでしょう。」

カザルス自身は自分への忠告だとは、思ってもいなかったのですね。
パブロはパブロでも、パブロ・ピカソが出てくる小説に、『ド・ドーミエ=スミスの青の時代』があります。

両親の最古にして最愛の友、パブロ・ピカソ。

『ド・ドーミエ=スミスの青の時代』は、サリンジャーの短篇。この中には、こんな描写が出てきます。

「黄色い無地のコットン・タイ、茶と白の靴、パナマ・ハット…………………。」

これは、ムッシュー・ヨショトの着こなし。
パナマ帽に、スペクテイターズ・シューズ。いいですねえ。これで、パブロ・カザルスのレコードを探しに行くとしましょうか。

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