シーカと縞ズボン

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シーカは、人の名前ですよね。たとえば、ヴィットリオ・デ・シーカとか。
V itt or i o D e S ic a と書いて、ヴィットリオ・デ・シーカ。もちろん、イタリアの偉大な映画監督であります。代表作は、『終着駅』。1953年のアメリカ映画。主演は、ジェニファー・ジョーンズと、モンゴメリ・クリフト。物語の背景は、ロオマ駅。ロオマ駅にはじまって、ロオマ駅に終る映画です。
余談ですが、「終着駅」の日本語はこの映画から一般化したとか。「巴里祭」と同じように。「巴里祭」も、映画の『巴里祭』から広まったものですね。
ジェニファー・ジョーンズ演じるは、アメリカの富豪夫人。どうして富豪夫人と分かるのか。1953年に、大きなクロコのトランクで旅をなさるお方なんですから。それに、お召し物が、完璧。なんでもジェニファー・ジョーンズの衣裳担当は、クリスチャン・ディオールだったそうです。さすが!。
1953年には、タイユール部門のピエール・カルダンはすでに独立してはいました。が、たぶん、あの完璧な仕立ては、カルダンの遺産だったでしょう。
シーカが出てくる小説に、『橋』があります。1920年代に、池谷信三郎が発表した物語。

「モーニングを着たら、きつと、あなたはよくお似合いになるわよ、と云つたシイカの笑顔を。」

ここでは「シイカ」という女性になっています。が、おそらく今なら「シーカ」と綴ったことでしょう。で、結局「彼」はモーニングを買うんですね。それで、どうなったのか。

「彼は見違へる程シャンとして、氣持がその粗い縞のズボンのやうに明るくなつて了つた。」

居は気を移す、と申します。衣はもっと気を移す道具ではないでしょうか。

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