サーカスとサンチュール

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サーカスは、曲馬団のことですよね。古くは「チャリネ」とも言ったそうですね。

調ぶるは下司のうた、はしゃげる曲馬の囃子。

北原白秋が、明治四十一年に詠んだ『邪宗門』の一節にも、そのように出ています。
北原白秋は「曲馬」と書いて、「チヤリネ」のルビを振っています。明治四十年の頃には多く「チャリネ」と呼んだものと思われます。
そしてチャリネにつきものが、「ジンタ」。客寄せのための、音楽。

「昌造は、騒々しい追駈けのジンタと弁士の塩辛声とをぼんやり耳にしながら、三つも四つももの通俗小説をでっち上げることが出来た。」

尾崎一雄が、昭和二十四年に発表した『懶い春』に、そのように出ています。
「ジンタ」は、♪ ジンタッタ ジンタッタ…… の擬音から生まれた言葉なんだそうですが。
サーカスを戯曲にする離れ技を、エンデが行っています。
ドイツの作家、ミヒャエル・エンデの戯曲『サーカス物語』がそれです。この中に。

「………はきふるしたコール天のズボンに、厚手のとっくり衿のフィッシャーマン・スウェーター、はげあたまに小さな毛糸帽。」

これは、「ピポ」の様子。ピポは、アクロバットの曲芸師で、サーカスの座長という設定になっています。
昭和二十三年に、三島由紀夫は短篇の『サーカス』を発表。この中に。

「日曜の夜の興行の折など、高く飛来した女の莫大小の胸もとはほのかに白く透くのであつた。」

そんな一節が出てきます。
三島由紀夫は、「莫大小」と書いて、「メリヤス」のルビをふっているのですが。
これは長いブランコをする「少女」の様子。
三島由紀夫が昭和二十四年に発表した小説に、『仮面の告白』があります。『仮面の告白』は三島由紀夫の半生記とも言える小説。ただし、あくまでも「仮面の告白」という設定になってはいるのですが。この中に。

「挿絵の王子は、黒のタイツに、その胸には金糸の刺繍を施した薔薇色の上着を着け、紅ゐの裏地をひるがへした濃紺のマントを羽織り、緑と黄金のベルトを腰に巻いてゐた。」

そんな文章が出てきます。
これは子供の頃、アンデルセンの童話『ナイチンゲール』を読んだときに感想として。
「緑と黄金のベルト」。いいですねえ。
ベルト b elt。フランスなら、「サンチュール」 c ent ur e でしょうか。
昔、フランス製の「レイグロン」という銘柄がありました。そのなかに、エラスティック・ベルトがあって。長く使っても伸びることがないので、重宝したものです。
どなたか緑と金のエラスティックのサンチュールを作って頂けませんでしょうか。

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