水仙とパナマ

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水仙がお好きな方も多いんでしょうね。水仙は花の姿も美しく、また香りも楚々として。

水仙は白妙ごろもよそへど恋人持たず香のみ焚く

与謝野晶子は水仙に託して、そんなふうに詠んでいます。水仙はまた、ナルシスとも。
ナルシスはもちろん、ギリシア神話に出てくる美少年の名前からきているんですね。
ナルシスで思い出す香水に、「ナルシス・ノワール」が。フランス、「キャロン」の香水。「キャロン」は、1903年のはじまりなんだとか。
実は「キャロン」という店はそれ以前にもあったという。この店の名前をお気に召したのが、エルネスト・ダルトロフ。で、その店ごと譲り受けるんですね。
「ナルシス・ノワール」は、1911年の誕生。オレンジ・ブロッサムと、ローズの香りが主体になっているんだとか。
ナルシス・ノワールと関係があるのか、ないのか。やや、これに近い名前が出てくるミステリに、『ヌーン街で拾ったもの』が。1936年に、レイモンド・チャンドラーが発表した物語。

「手袋から香水が、『真夜中の水仙』 ( ミッドナイト・ナーシサス ) の匂いがした。」

これはある女性から漂ってくる香り。また、こんな描写も。

「男は紫色の背広を着て、なでつけられて光沢のよい頭髪にパナマ帽をのせていた。」

たぶん季節は夏なんでしょう。「紫色の背広」ねえ……。でもパナマは被ってみたい。水仙の香りがしてきそうな、パナマを。

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