レストランと麻ズボン

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レストランに出かけるのは、人生の重要な愉しみですよね。

昔、有名だったレストランに、「ピラミッド」があります。フランス、リヨンからも近い、ヴイエンヌの町に。

「ピラミッド」に行くのは簡単だった。店のある通りの名前が、ブールヴァール・フェルナン・ポアン。レストランの主人の名前だったから。

「ピラミッド」は1930年代から、フランス最上の店とされたもの。おそらく味としては当時、世界一のレストランだったでしょうね。

1931年。「ピラミッド」で食事したひとりに、アガ・カーンが。とにかくご自分の体重を純金で計ろうというお方。世界有数の富豪。食後のアガ・カーンの感想。

「なんとすばらしい昼食であることよ。」

そのころ、「ピラミッド」には芳名帳があって、アガ・カーンはサインに添えて、そのひと言書き遺しています。

かのウインザー公もお忍びでこの有名なレストランを訪ねています。

「 このレストラン・ピラミッドさえ訪れていただければ、当初の目的は大部分はもう果したとさえいえるのである。」

辻静雄著『ヨーロッパ一等旅行』 ( 昭和五十九年刊 ) には、そんなふうにに書いてあります。

「ピラミッド」の主、フェルナン・ポアンが世を去ったのが、1955年3月4日。五十八歳であったという。フェルナン・ポアンの跡を継いだのが、マダム・ポアン。マダム・ポアンが天に召されたのが、1968年7月5日。

「ピラミッド」そもそものはじまりは、オーストリアの、ウイーンで。1923年のこと。その頃、馬車レースの折り返し地点を俗に、ピラミッドと言った。そのピラミッドの近い店だったので、「ピラミッド」。「ウイーン」も「ヴィエンヌ」も、綴りが同じなのが、面白い。

1923年み発表された小説が、『青い麦』。もちろん、コレット作。この中に。

「白麻のズボンと、よそ行きの目の粗いジャージーの上衣が汚れるのを気にしながら……」

これは、フィリップという十六歳の少年の着こなし。

白麻のズボン。いいですね。さて、レストランに美味しいものを食べに行きたいものですね。

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