画家とアロハ

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画家は憧れの職業のひとつですよね。

画家で、フランス人で、洒落者で。そうです、ブラック。ジョルジュ・ブラック。

ジョルジュ・ブラックは、フランス北西部、ル・アーヴルで大きくなった人なんだそうですね。お父さんは、ペンキ屋。ペンキ屋といっても、天才肌だったという。まるで本物そっくりかと思うような大理石風に仕上げてみたり。

ブラックは子供のころからお父さんの仕事を見ていて。十五歳くらいで、お父さんを凌ぐほどの腕前になっていたそうです。

ジョルジュ・ブラックは二十歳くらいで、パリに。パリで昼間はペンキ屋、夜は絵を描いていた。そんな頃、ある小さな画廊がブラックの描いた絵を並べてくれることに。なんと、それが売れたという。

ブラックのはじめての絵を買ったのは、どこの誰とも分かっていない。ただひとつだけ。それは、日本人であった。

マダム・マサコ著『巴里案内』に出ている話です。この本の中には、マダム・マサコとジョルジュ・ブラックが並んで立つ写真も出ています。ブラックはハンサムで、着こなし上手。

ジョルジュ・ブラックは1963年に世を去っています。1963年に発表された短篇に、『葡萄パン』が。三島由紀夫作。舞台は、夏の鎌倉。これは当時の新しい若者を描いた小説でもあります。

「その店で知り会つた少年少女たちの話をきき、特殊な語法に馴れ、隠語を学び……」

三島由紀夫自身は『葡萄パン』について、そのように語っています。「その店」とは、その頃に流行っていた、ビートニク・バーのこと。『葡萄パン』の中に。

「男はゴーギで、めくれたアロハ・シャツから、逞ましい背筋があらわれていた。」

「ゴーギ」は、少年の仇名。そういえば、画家に描いてもらったようなアロハ・シャツというのも、良いかも知れませんね。

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