ギニーとギンガム

ギニーは、昔の英国の通貨ですよね。
ginea と書いて「ギニー」と訓みます。
ただし十九世紀までの英国紳士は、「ギニ」に近い発音だったそうですね。
無理矢理日本で近いところを探しますと、「両」でしょうか。
ギニーは今は実際には、流通していません。
でも、会話の中で「ギニー」が用いられることはあるとのこと。
たとえば。競争馬を売買する時には、「ギニー」でやりとりをするんだとか。
ギニーは1663年にはじまっているというから、古い。
当時のギニーは二十シリングに相当したとのこと。
アフリカとの貿易に用いられた金貨。その金貨が、アフリカのギニア産の金で鋳造されていたので、「ギニー」と呼ばれるようになったんだそうですね。
1813年までは、英国内で、ギニー金貨が鋳造されていたらしい。それ以降の鋳造はありません。
でも、その後も、旧通貨名としての「ギニー」は長く口にされたのです。
たとえば。医者への支払は、「ギニー」の単位で。
あるいはまた、高価な絵画を買う時にも、「ギニー」が。
ギニーが出てくる小説に、『ノー・ネーム』があります。
英国の作家、ウィルキー・コリンズが、1862年に発表した長篇。

「彼女の返事は、ダービーとノッティンガムでの彼女の取り分をわたしにくれるというのだ ー 一日につき約二ギニー分の費用を払うことになる。」

ここでの「彼女」は、女優の、ローズマリー・レインという設定になっているのですが。
十九世紀後半でも「ギニー」の言い方が使われていたのでしょうね。
また、『ノー・ネーム』には、こんな描写t出てきます。

「ギンガム布の傘を油布のカバーで覆っている。」

これは道すがら出会った男の持っている傘について。
「ギンガム」gingham は、1615年頃からの英語。これはインドのマレー語で、「縞」の意味「ギンガン」から出たものです。
つまり最初のギンガムは、縞柄であったという。
また、十九世紀中頃の英国での「ギンガム」は、「傘」の意味にも。ギンガム地を張った傘が多かったので。
1889年『スポーツマン』紙2月2日号にも「ギンガム」の言葉が出ています。この場合の「ギンガム」は「傘」の意味として。
また、1793年の『インディアン・オブザーヴァー」紙には、「ギンガムのウエイストコート」の言葉も出ています。もちろん、縞柄のチョッキだったのでしょう。
どなたか縞柄のギンガムで、ウエイストコートを仕立てて頂けませんでしょうか。