味噌とミンク

味噌は、発酵食品のひとつですよね。
味噌は古い時代に今の中国から伝えられたものなんだとか。
でも、今現在の味噌は日本独自の食品と言って良いでしょう。
味噌の原料は大豆で、大豆を発酵させて味噌に。
味噌は身体にも良い調味料です。
仙台味噌があって、信州味噌があって。さらには「手前味噌」のあります。
細かく眺めていきますと、味噌にも星の数ほどの種類があるのでしょうね。
たとえば、「もろきゆう」。ここでの「もろ」は、醪。まあ、味噌のひとつと言って良いでしょう。
小ぶりの胡瓜に醪をつけて。旨いものであります。
あるいはまた、「径山寺味噌」。いいろんな野菜などを細かく刻んで練り込んだ味噌。
径山寺味噌は天下無敵の調味料。そんなふうにも思えてくるものです。
宿酔いの朝の、一杯の味噌汁。五臓六腑に染み渡ります。
好みの味噌汁を作る奥さんは、貴重この上ないものであります。
味噌が出てくる随筆に、『霊長類ヒト科動物図鑑』があります。
向田邦子が、昭和五十六年に発表した随筆集。

「八丁ミソにミリンを加え煮立てさせたものを、揚げたてのカツにかけただけだが、油のしつこさをミソが殺して、ご飯ともよく合う。」

これは向田邦子がはじめてみそカツを食べた時の、感想。
向田邦子は雑誌の取材で、岐阜に。岐阜の町を歩くと、至るところに「みそカツ」の看板が。
食べたくて食べたくて。でも、案内の編集者は、高級料理ばかり。
やっと新幹線に乗る前、ひとりになれて、みそカツを。
これ以来、みそカツは向田邦子の得意料理になったという。
向田邦子の『霊長類ヒト科動物図鑑』を読んでおりますと。ニュウヨークに旅した時の話も出てきます。

「ネグリジェの上、パジャマの上に、ミンクやリンクスを羽織っていた。」

これはニュウヨークのホテルでの話として。
深夜、突然、非常ベルが鳴って。客がロビイに集った時の様子。
ミンクmink は、小型の貂に似た動物。
水にも寒さにも強い毛皮になってくれるものです。
どなたかミンクの外套を仕立てて頂けませんでしょうか。