すみれとスモオキング

すみれは、花の名前にもありますよね。
すみれは、フランス語で「リラ」。英語なら「ライラック」。
すみれは、『萬葉集』にも詠まれているそうですから、古いのでしょう。
漢字では「菫」とも書きます。
一説に、すみれは「墨入れ」から来ているんだとか。
花の形が昔の墨壺に似ていたので。

♪ すみれの花 咲く頃……

これは今では「宝塚観劇」を思わせる歌になっていること、ご存じの通り。
もともとはドイツの歌劇『再びライラックが咲いたら』が、原曲なんだそうですね。1928年に発表されたオペラ。
これが後に日本に輸入されて『すみれの花咲く頃』になったんだとか。
「星菫派」(せいきんは)の言葉があります。
清く正しく美しく。
星菫派もまた、『すみれの花咲く頃』と無関係ではないのでしょう。
すみれが出てくるミステリに、『深夜プラス1』があります。
1965年に、英国の作家、ギャヴィン・ライアルが発表した傑作。

「暴れ者の三色菫が月桂樹の上で休んでいる、とからかわれた紋章である。」

これは第二次大戦時の、英国陸軍の紋章について。
また、『深夜プラス1』には、こんな描写も出てきます。

「ロンは薄緑色の絹のえりのついたダーク・グリーンの
ディナー・ジャケットを着て、えりにピンクのらんの花をさしている。」

ここでの「ロン」は、ロン・ホプキンズのこと。
ロン・ホプキンズは英国のデザイナーと設定されています。
そのロンが、巴里のモンマルトルで、ショウを開く場面。
ここから『深夜プラス1』は、幕を開けるわけですね。
ディナー・ジャケットは、イギリス英語。
フランス語なら、「スモオキング」smoking 。
イギリスのスモオキング・ジャケットが、ちょっとした誤解からフランスに持ち込まれた結果なんですね。
どなたか1960年代のスモオキングを仕立てて頂けませんでしょうか。