料理とルパシカ

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料理の上手な人、いますよね。たとえば、福田蘭童。福田蘭童は、尺八の名手だったお方。
青木 繁の子供。石橋エイタロウのお父さん。福田蘭童は作曲もし、また筆の立つ人物でもありましたが、なんといっても料理。とにかく、食事の店に入っても、蘭童自身が包丁を握ったという。
福田蘭童と釣り仲間だったのが、井伏鱒二。『井伏鱒二 聞き書き』に詳しく出ています。井伏鱒二の名短篇に、『引越やつれ』があります。
『引越やつれ』は、若い頃の井伏鱒二が、住んだ下宿屋のほとんどすべてを、詳しく辿った物語。そもそものはじまりは、早稲田大学の正門前にあった、「西南館」。「西南館」を振り出しに。高田館、牛込鶴巻町、巢林館、鬼子母神裏………。実にまあ、移っています。この中に。

「私たちの連れて行かれた料理屋は、「笹の雪」といふ店であつた。場所は根岸である。古めかしい建物の家であつた。」

「笹の葉」は、豆腐専門店。今でもあります。ただし建物は建て替わっていますが。なんでも元禄三年にはじまるとのことですから、古い。

笹の上に積もりし雪の如き美しさよ

宮様がそのように詠んだというので、「笹の雪」。いや、『引越やつれ』に戻って。井伏鱒二が早稲田に通っていた頃の思い出話として。

「たちのクラスにも錫杖をついて登校する學生がゐた。ルパーシカをきて来る學生もゐた。」

「ルパーシカ」は、ルパシカのことでしょうか。ロシアの民族衣裳。たまにはルパシカ風のシャツを着てみたいものです。

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