マヨネーズとマントレ

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マヨネーズは、ソースのひとつですよね。ちょっと加えると、味が引き立つ仕掛けになっています。
卵黄とオリイヴ・オイルとで、簡単に作れるものです。
mayon aise と書いて「マヨネーズ」。一説に、「マオン」の地名から出ているとも。マオンはマヨルカ島、ミノルカの町名。

「………マイヨネエズソオスを調味する其手を止めてそつとお金の顔を見た。」

永井荷風が、1923年に発表した小説『『二人妻』に、そのような一節が出てきます。
永井荷風は、「マイヨネエズソオス」と書いているのですが。小説に出てくるマヨネーズとしては比較的はやい例でしょう。

小説の題にマヨネーズが出てくるものに、『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる』があります。
サリンジャーの書いた短篇。1945年『エスクァイア』10月号に発表されたものです。

「タイトルは、「こないだ乗ったトラック」か「戦争と平和」か「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる」か。シンプルなのがいい。」

つまり、仲間たちと冗談半分に、小説の題を考えている場面として。
勝手な想像ですが、サリンジャーもまた、マヨネーズ添えのサンドイッチがお好きだったのでしょう。

マヨネーズが出てくる紀行文に、『スペイン紀行』があります。
1845年に、テオフィル・ゴーティエが発表した文章。実際、ゴーティエは、1840年にスペインに旅しているのです。

「………これらの材料を銘々の皿の上にたくさん入れ、大変に美味なマヨネーズを作る要領で混ぜ合わせるのだ。」

これはスペインで食べた食事の一例として。
また、ゴーティエの『スペイン紀行』には、こんな描写も出てきます。

「あっちの男があなたの服の裾をつかみ、こっちの男は短マントのボタンをつかむ。」

これは旅先での宿の客引の様子。客引は、馬車で駅に着いた客を、自分の宿に案内したいので。
旅人は、「短いマント」を着ているのでしょう。
「マントレ」mantlet 。短いマントなので、「マントレ」。
どなたかマントレを仕立てて頂けませんでしょうか。

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