イタリアとイニシャル

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イタリアは、美食の都ですよね。イタリア・ワインは美味しいですし。また、南北に長い国でもあって、それぞれの郷土料理にも変化が愉しめます。
北イタリアのコーヒーと、南イタリアのコーヒーは、はっきりと異なっていて、面白いほどです。

大正八年にイタリアを旅したお方に、徳冨蘆花がいます。その時の紀行文は、『汽船カールスバッド』に収められています。

「伊太利の湖水の中で、一番美しいと云わるるコモの湖。」

徳冨蘆花は、「ヴォルタ号」に乗って、コモ湖を遊覧しています。
今、コモ湖周辺は、絹のプリントが盛んな所になっています。ことに高級スカーフの多くはコモ湖あたりで生産されているのです。
1955年に、コモ湖を訪れた作家に、大岡昇平がいます。なぜ、大岡昇平はコモ湖を旅したのか。

「スタンダールが「パルムの僧院」の主人公フィリップス・デル・ドンゴーを誕生さしたグリヤンタは、湖コモ側の対岸、グリヤンテである。」

大岡昇平の随筆『イタリア紀行』に、そのように出ています。大岡昇平は、スタンダールの『パルムの僧院』の日本語訳者ですから、当然のことでもあるのでしょう。
大岡昇平はすくなとも五十回は仏文の『パルムの僧院』を読んだそうですから。
『パルムの僧院』は、長篇。と同時に、スタンダールの代表作でもあります。人によっては、『赤と黒』か、『パルムの僧院』かで、迷うこともあるでしょうが。

スタンダールは、『パルムの僧院』を、二ヶ月足らずで完成させています。1838年11月4日にはじめて、12月25日に終えたとのことです。それも、口述筆記で。この時のスタンダールは手が不自由だったので。
『パルムの僧院』の中に、こんな描写が出てきます。

「ジレットの名を名のるわけだが、身につけている肌着類にはみなF・Dと頭文字のしるしがついていた。」

これは主人公のファブリスが変装して国境を越える場面。
ファブリスの肌着には、イニシャルがあしらわれていたのでしょう。
どなたかイニシャルを刺繍で入れたくなる下着を作って頂けませんでしょうか。

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