流行歌とリーファー

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流行歌は、ポピュラー・ソングのことですよね。いつの時代にも、流行歌はあります。「歌は世につれ、世は歌につれ」などと言うではありませんか。

🎶 窓を開ければ 港が見える………

昭和十二年の流行歌。もちろん、『別れのブルース』ですね。淡谷のり子が歌っています。
作詞は、藤原洸、作曲は、服部良一。昭和十二年に、服部良一はどうしてもジャズふうの歌謡曲が作りたくて。そこで起用したのが、藤原洸。服部良一は当時の金で30円を藤原洸に渡して、横濱に取材に行くように。それで生まれたのが。

🎶 メリケン波止場の 灯が見える

だったのです。ところが、淡谷のり子はソプラノ歌手。譜面は、アルト。でも、服部良一は「どうしても歌って欲しい」。
淡谷のり子は、一晩、酒と煙草に溺れて。録音当日は、マイクに近付いて、囁くように歌った。
この『別れのブルース』が大ヒット。『○○ブルース』が連発されることになるんですね。
『別れのブルース』の前には、『君恋し』があります。

🎶 宵闇せまれば 悩みは涯なし

時代が時代ですから、文語調の歌詞なんですね。昭和三年の流行歌。二村定一がコミカルに歌っています。
昭和三十六年になって『君恋し』のリヴァイヴァル。
フランク永井が、歌って。その年の「レコード大賞」を受けています。
フランク永井はあえて「二村定一」の『君恋し』を聞かないで、ジャズふうに歌った。

🎶 みだるる 心に うつるは誰が影

流行歌が出てくる小説に、『ラスト・タイクーン』があります。1941年に、F・スコット・フィッツジェラルドが発表した物語。

「彼が選んだ最初の曲、「ロースト」が部屋中に響きわたり、少し間があいてから、二番目に選んだ「ゴーン」が始まった。」

この「ロースト」も、「ゴーン」も、その頃のアメリカの流行歌だと説明されています。
また、『ラスト・タイクーン』には、こんな描写も出てきます。

「ごめんなさい、なかへどうぞと言えなくて。リーファーを持ってきて、外で座りましょうか?」

「リーファー」reefer は、ダブル前のコートのこと。その昔、英国海軍の士官候補生の制服だったので、「リーファー」の名前があります。
「リーファー」のもともとの意味は、「帆を巻き上げる人」。
どなたか完璧なリーファーを仕立てて頂けませんでしょうか。

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