アップルとアルスター

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アップルは、リンゴのことですよね。漢字なら、林檎でしょうか。
リンゴは旧約聖書にも出てくるくらいですから、その歴史は古いのでしょう。たしかにリンゴの赤い色には、惹きつけられるところがあります。

リンゴが赤くなれば、医者が青くなる。

そんな言い方もあるんだそうです。つまりリンゴは健康にもよろしいのでしょうね。

🎶 リンゴの花びらが 風に散ったよな

美空ひばりの『リンゴ追分』の歌い出しであります。
リンゴはもちろん、そのままでも食べます。薄切りにしてサラダに混ぜることも。
また、シナモンをたっぷり聞かせて、アップルパイを作ったりもします。

「そのあと、大急ぎでアップルパイ二つ焼いて、夕食は気取らずおいしいメンチカツとポークビーンズ! 食欲の秋にぴったり。」

庄野潤三の随筆『誕生日のアップルパイ』に、そんな手紙が出てきます。
四十になった庄野潤三のお嬢さんからの手紙の一節。四十の誕生日を迎えた娘が一日、なにをしていたのかの報告として。
アップルパイは、幸福の象徴でもあるのでしょうか。

明治七年に、政府は全国の県に、西洋リンゴの種を配ったことがあるんだそうですね。明治十一年になって、青森の弘前で、そのリンゴが実って。
山野治三郎というお方が、立派にリンゴを育てたと。
山野治三郎のリンゴは、一個、146グラム。まわりの大きさ、約22センチだったという。
弘前の気候風土がリンゴ栽培に適していたのでしょうか。
太陽がいっぱいの土地では葡萄が実ります。そしてまた、寒冷地ではリンゴが。そこでイギリスなどではリンゴ酒が造られるわけですね。アップル・サイダーとか、シードルと呼ばれるものです。
古代ロオマの時代から、リンゴ酒は造られていたらしい。
十八世紀のコンウオール州ではリンゴ酒造りが盛んで、大いに輸出もされていたそうですね。

リンゴ酒が出てくる小説に、『黒い小屋』があります。1857年に、英国の作家、ウイルキー・コリンズが発表した物語。

「リンゴ酒を一口飲ませてくれと言った以外には何も言いませんでした。」

1850年代のイギリスでも、リンゴ酒がごく身近な飲物だったことが、想像できるでしょう。
ウイルキー・コリンズの『黒い小屋』には、こんな描写も出てきます。

「私がフード付き外套を大急ぎで羽織り、裏の戸口の心張り棒に手を掛けたとき」

「フード付き外套」。1850年代から想定して、私は勝手に、「アルスター」ulster を想ったのですが。
どなたか十九世紀のアルスター・コートを再現して頂けませんでしょうか。

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