ヴィクトルとヴィゴーニュ

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ヴィクトルは、人の名前にもありますよね。たとえば、ヴィクトル・ユゴーだとか。ヴィクトル・ユゴーは、フランスの文豪であります。
ヴィクトル・ユゴーの代表作は、『レ・ミゼラブル』でしょうか。長篇。1862年に、出版されています。この時には、十巻本として出版されているのですね。
ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』が完成したのは、1860年4月25日、午前8時30分のことだと伝えられています。場所は、ガンジー島で。その時のヴィクトル・ユゴーは、ガンジーに亡命中だったので。
『レ・ミゼラブル』は、同じ年に、ふたつの出版社から出ています。ブリュッセルの「ラクロワ書店」と、巴里の「パニェール書店」との。
ヴィクトル・ユゴーは本の売行きが気になって。出版社に電報を。「?」。売行きはどうですか、と。これに対する出版社の返事。
「!」
「とても売れていますよ」と。
事実、『レ・ミゼラブル』は、ざっと一週間で初版を売り切ったそうですから。
それはともかく世界でも珍しいほどの短い電文だったのですが。

ヴィクトルが出てくる小説に、『失われた時を求めて』があります。もちろん、マルセル・プルーストの大長篇であります。

「ところがメッテルニヒ女史ときては、ヴィクトル・モーレルを知っているからというので、自分がワーグナー世に出したようなつもりになっている。」

ここでの「ヴィクトル・モーレル」は、当時の巴里で有名だったバリトン歌手のことなのですが。

また、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』には、こんな描写も出てきます。

「彼はその手にビクーニャ織りのコートを持っていた。なるほど、私を暖かくするために、大公に頼んでそれを借りてきてくれたのである。」

実際に、マルセル・プルーストは特別寒がりの人だったらしい。
夏の避暑地に行くために、何着ものヴィキューナの外套を用意したくらいですから。
英語では、「ヴァイキューナ」。vicuna 。フランス語では、「ヴィゴーニュ」vigogne 。
自然界ではもっとも細い毛を持つ動物が、ヴィゴーニュ。寒い時にはマイナス十度の世界でも生きていられるために神が与えた繊維なのです。
どなたかヴィゴーニュの外套を仕立てて頂けませんでしょうか。

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