ダイキリとタイ

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ダイキリはカクテルの一種ですよね。daiquiri と書いて、「ダイキリ」。ダイキリは、十九世紀末のキューバで生まれたんだそうです。
その頃、キューバのダイキリに鉱山があって。ここで働く技師たちが、ホワイト・ラムを飲んでいた。ホワイト・ラムを、ライム・ジュースで割って。このラム&ライムが後に一般化して、今の「ダイキリ」になったんだとか。
ダイキリの仲間に、「フローズン・ダイキリ」があります。ホワイト・ラムとライム・ジュースはまったく同じなのですが、クラッシュド・アイスで仕上げるので、「フローズン・ダイキリ」。
このフローズン・ダイキリがお好きだったのが、ヘミングウェイ。ただしヘミングウェイはドライなフローズン・ダイキリがお好みだったらしい。
ダイキリも、フローズン・ダイキリもシロップを少し加えることになっています。が、ヘミングウェイはシロップ抜きのフローズン・ダイキリを、愛飲したという。

「飲むほどに粉雪蹴散らしながら、氷河を滑降する心地……………」。

ヘミングウェイ著『海流の中の島々』の中に、そんな風に書いています。
英国の作家、グレアム・グリーンもまた、ダイキリが好みだったのではと、思われるふしがあります。
グレアム・グリーンが、1958年に発表した『ハバナの男』の中に。

「ワーモルドはいつもきまって飲む午前のダイケリで、口中のほとぼりを冷ました。」

ここでの「ダイケリ」は、ダイキリのことかと思われます。「ワーモールド」は英国人の、主人公。場所は言うまでもなく、ハバナ。そうなれば、やはりダイキリがお似合いなんでしょうね。また、『ハバナの男』には、こんな描写も出てきます。

「長身の、黒鼠色のトロピカルの背広に、特別な資格がなければつけられない襟飾りをつけた上品な紳士で……………」。

「襟飾り」の横に、「タイ」とルビが振ってあります。おそらく、「クラブ・タイ」のことなのでしょう。
有名校を出ていない私は「クラブ・タイ」を結びはしません。なにか好みのタイで、ダイキリを飲みに行くとしましょうか。

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